ももちゃん…? 



ももちゃん…? 



え? 




なんで? 





どうして……? 





なに? 





なにこれ………? 






手が震える。 



視点が定まらない。 



頭が真っ白で、どうしたらいいかわからない。 



『ももちゃんから電話がきた。』







「愛希ちゃん?」

「あ…。」 

なおくんの呼び掛けであたしは我に返った。

「どうしたの?電話誰?」

なおくんは心配そうにあたしが持つケータイを覗き込んだ。 

「な、なんでもない!」

同時にあたしはケータイを閉じる。


ドキドキが止まらない。 

呼吸が早くなる。


飛び出そうなほど、強く心臓が打つのを感じる。 



「大丈夫?」

なおくんはずっと心配そうな顔をしていた。 


「なんでもないよ!平気!しばらく連絡取ってない人からだったから、ちょっとビックリしただけ!あはは。」

「そう?」

留守電マークもついていた。 

でも、ここじゃ聞けない。

 
「電話、折り返さなくて平気?随分鳴ってたみたいだから、急用かもよ。」

「そ…そうだね…。どうしようかな…。」 


だって、留守電を聞いたら……。


「あ、オレそのゴミ捨ててくるから、その間掛けてみたら?」

「え……?あ、ありがとう…。」

なおくんはケーキのゴミやタバコの空き箱を袋に詰めて車を降りた。 


あたしはなおくんが車を離れたのを確認してから、ゆっくりケータイを開けた。 

「………ももちゃん…。」

泣くかもしれない。


緊張に震える指で、あたしは留守電サービスセンターをプッシュした。 




ももちゃんからきた約1ヶ月半ぶりの電話。 





あたしはケータイを耳に当てた。