「えっ?これ…勉強してたの?」
あたしはテーブルの上にノートや辞書があるのに気付いた。
今のあたしにはだいぶ違和感のある見慣れないもの…。
「うん。これは春休みの分のレポート。」
「ちゃんとやるんだ…。」
「やらなそう?」
「うん。」
「ひでぇッ!」
ホントに、やらなそうな人に見えたんだよ。
「遊びたくて、親の脛かじって学生してるのかと思ったよ。」
「あはは。学費自分で払ってるから、勉強しないともったいないからね。」
「え?そうなの?」
「ごめんね〜、そう見えなくて。」
なおくんは笑いながら言った。
以外だった。
別にチャラチャラしてそう迄はいかなくても……、真面目にも見えなかったから。
「学費自分で払ってる奴なんていっぱいいるよ。……それより愛希ちゃん…、なんかいいことあった?」
「えっ?なんでッ?わかるの?」
「わかるよ〜。」
そういっつなおくんは顔を近付けてきた。
あたしの胸は少し強く脈うつ。
それを気付かれないように…あたしはソファーにもたれかかってなおくんから離れる。
「店長ね、最近変わったんだけど、なんかいい人で嬉しいの!がんばってるからってボーナスもらっちゃった!」
「ホントに?よかったね!」
なおくんは満面の笑顔で言ってくれた。
ホントはね、こうやって仕事のあと『お疲れさま』って言ってくれる人がいて…嬉しいの。
なおくんの笑顔が……
もっと見たい…。
怖くて言えない、あたしの本音…。
でも、
ももちゃんの事も忘れられない。
ももちゃんに会いたい…。
怖くて何もできない、あたしの本心…。