なおくんだった。 

あたしは涙をふき、なんとか声を戻して電話にでた。

「もしもし?」 

「愛〜希ちゃん♪」 

テンションが高い。 
でも今は、それがあたしの涙を止めた気がした。 

「なんなの〜?テンション高いよ!どしたの?」

「メールありがとねって言おうと思って!」

「ああ、なんかなおくんのメール意味分かんなかったよ。作詞家にはなれないね。」

「えぇッ!?2時間以上かかったのに…あッ!」

「2時間って…。」

なおくんは苦笑いしてるような声が聞こえてきた。 
もしかして…
まだ一緒にいるうちから作ってたの? 

「ほんと、バカすぎ……」
「あはは。 
愛希ちゃんもなんかいろいろ大変なことあるの?」

「え?な…んで?」

「オレへのメール見てたら、なんかそんな気がしたの。‘悩むのに疲れた’みたいに感じて……、心配だったから。……オレの考えすぎ?」

心配……してくれたの。 

ふと、感じた…。 

隙間だらけのあたしの心が…
満たされてく…
そんな気がした。 




でも……だめだよ。 



また…


傷つくよ。 



あたしは素直に 

『ありがとう』と言って電話を切った。 





寒くない…。 



さっきと違う。

 





でも…



今度はその気持ちが、 


怖いよ。 





あたしは一体

なにがしたいんだろう。 

なにがほしいんだろう…。