週末の居酒屋はとても賑わっていた。 
テーブルは満席で待っている客もいる。 


「店長は初めからあんな感じのやつだったよ!」

姫ちゃんはお酒も入ってか、店長の文句をひたすらいっていた。 


「姫ね、もう3年ここいるけど、入店してからすぐ、誘われたもん。」

「え〜、キモイーッッ!」
ゆいちゃんは身震いするように言った。 

「他の女の子も声かけられてたみたいだし…、ぶっちゃけ、それでやめてったコってかなりの人数だったみたい。」


最低だなあの店長。 

あんなのにせまられたら、逃げるって、普通! 


「店長として最悪じゃん!」

「マオさんは?何回も声かけられたんですか?」

ゆいちゃんがマオさんに聞く。 

「私も、入店してすぐだったかな…。店でね。でも、姫ちゃんの事知ってから、してないよ。……あ、ごめ……ッッ。」


マオさんが気まずそうに姫ちゃんを見た。 


びっくりしたような顔をして、姫ちゃんはマオさんと目をあわせる。 


「え??姫ちゃんが何…?」

姫ちゃんは表情が固まる。 

ちょっとだけ、あたしたちはシーンとした。


「ごめ……姫ちゃん…、あたし…。」


マオさんはオロオロしてる。 


聞いちゃマズイ事…?


たぶんゆいちゃんもあたしと同じ事を考えてたと思う。

姫ちゃんが笑った。 


「いーよ、いーよ、マオちゃん。」 

姫ちゃんはあたしとゆいちゃんの方を見て言った。 


「姫ね、店長とつきあってたの。」



!!!    は? 



頭が真っ白になった。