「探しましたよ。巫女姫」

「さあ、我らとおこしください」

「何なのですか?!」

突然現れた白装束の男たちにリティアは怯えた。

「ナリハの神官がリティアに何のようですか?!」

リティアは神官が嫌いだ。そしてそれ以上に怖い。

「神官長があなたを待っております」

「巫女姫を正しき道へ導く役目を持っている我らの神官長ならばあなたを救ってくださいます」

「リティアは神官さんに救われなくても良いです!」

「おかわいそうに…混乱されているのですね」

「早く神官長の元へお連れします。正しい導きが巫女姫の心と力を守ってくださります。ご安心ください」

「いやっ!」

腕を引っ張られ、苦痛の表情を浮かべたリティアの小さな身体は嗅ぎなれた香に包まれた。

「ダメだよ。怯えさせたら」

大好きな声がすぐ近くで聞こえ、リティアの目から沢山の涙が零れる。

「遅いです、ロア」

「ごめんね」

ロアは腕の中で小さく奮え涙するリティアの頭を優しく撫でた。

「オウさん。リィを頼むよ」

『我はこやつらを許さん』

牙を剥き出し、鬼の形相で唸る王の背にロアはリティアを乗せた。

「ロア?」

『むっ?!』

「人相手は僕に任せてって言ったでしょ。オウさんの威嚇にあんだけビビっちゃってるしね」

『確かに我らの力は必要ではなさそうだな』

「ロア…」

「大丈夫だよ。僕は強いんだから。王さんと向こうでトスマのサンドイッチでも食べてて」

『行くぞ』

草原を駆けていく王の姿が見えなくなり、ロアは震えて小さく神官の前に立った。