彼がそこに入った時、熱の篭った視線が集まった。

ミルクティー色の髪、琥珀の瞳、スラリと伸びた足に品やかな指、どこをどうとっても美男子にしかならない彼はキョロキョロと辺りを見回す。

「あれまぁ」

目的の物を見つけ、笑みを浮かべる彼の表情はまるで蜂蜜のように甘い。

「今日も高いねぇ」

図書館の一角に積み上げられた本。彼よりも高いその山のすそで鮮やかな紅が目に入った。

「リィーもうすぐお昼だよー」

「もうそんな時間なのですか!」

山頂から顔を覗かせた幼い少女は紫の瞳を瞬かせた。

「リティア、熱中しすぎてしまいました!」

「うん。見れば分かるよ。とりあえず本を片付けようか」

「はい!」

元気よく返事をしたリティアは次の瞬間、派手な音をたてて山に埋もれた。