夢見る少女は今日も夢を見る。

世界が紅蓮の炎に焼かれる様を。



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―聖地ビスラリティア

神が住むといわれるその地は神官長を始めとした神官たちが祈りの結びにより護っていた。

人の立ち入りが限られたその場所の、さらに奥深くに人の立ち入ることのゆるされない神聖地がある。

そこには白亜に輝く泉があり、そこには夢姫と呼ばれる少女がいた。

泉に身体を沈め、眠る夢姫は太陽の神がちょうど世界の真ん中に現れた時、目覚め予知を授ける。

「おはようございます。姫」

「おは…よ……う」

「夢姫……泉からおあがりください。二度寝はいけません」

神官長に促され泉からあがり夢姫は専用の椅子に腰掛ける。

「むらが……ありました」

ポヤンとしたまるで幼い子供が話すような口調は彼女が予知を授ける時。

「わかいおとこの……ひとがおさの、小さなむらで……みんなが、しあわせにくらしていました」

宙を見つめていた夢姫の目がゆっくり下がる。

「だけど、にしのもりから……魔が紅蓮の炎を携えて、すべてを灰燼にした」

瞳に生気が戻る。

「まだ間に合うわ。村を救える。ニッツァ村はここから北に350進んだとこにある。タルアの羽なら1日で着く」

救うための最善を彼女はすぐに導く。その姿は凛々しくも美しい。

「わかりました。今すぐドルティア神官とバスク護衛を向かわせます」

「お願いします。彼らに神の加護があるよう祈っています。そしてニッツァの人々にも」

夢姫は手を重ね祈った。