『俺もちょうど甘いもの食べたくなってこの店寄ったんだけど、ケーキとか見るとつい友香のこと思い出すんだよなぁ。』
大学時代、とにかくがむしゃらに洋菓子
を試作しては仲間に食べさせてた
時期があり、修二もその1人だった。
『俺、友香のおかげで甘いものが食べれるようになったんだもんな。』
なんてイヤミを言う感じは全く
あの頃と変わってない。
懐かしいな。
修二はよくブツブツ言いながらも
苦手なケーキを食べ続けてくれてたな。
無理やり食べさせてたんだけど(笑)。
『で、いつ戻ってきたの?』
急にマジメな顔して聞いてきたから
フォークを持つ手が止まる。
『もう1ヶ月前になるかなぁ。帰ってきてすぐ、高校時代にお世話になった先生とバッタリ会ってね。その縁あって今は教師の仕事就かせてもらってる。店を出す資金の為にもね。』
『へぇ~、友香が教師ねぇ。どう?教師は。』
中指でクイッとメガネを上げた修二は
優しく微笑んでる。
『うーん、まだ慣れてないから毎日がてんてこ舞いだけど、楽しむように頑張ってる。』
『そっか。じゃあ資金が貯まれば教師辞めてパティシエになるんだ?』