自分の車がよく見える。



『俺、友香ちゃんの車の音、聞き分けられるよ。』



得意げに霧島くんは言う。



『ウソ!?』



『マジ。友香ちゃんは周りを気にして静かに入ってくるから。他の先コーはお構いなしだけどね。』



たまにこうして他愛もない会話を
繰り返したり、
静かに本を読む私の隣で彼が
寝息をたててたり。



朝のほんの一時を図書館で一緒に
過ごすことが、いつしか
2人の日課のようなものになってた。



秘密の時間。



でもそうすることに何の違和感も
なくて、自然と互いを受け入れてる。



廊下ですれ違ったり、授業中では
全くの教師と生徒の顔。



それが2人の暗黙のルールだった。