早朝の学校。



指定の場所に車を停める。



助手席に置いてあるカバンと
ジャケットを手に取りドアを閉める。



そっと図書館を見上げると、
窓のカーテンが少し開いて
ひょっこり霧島くんが顔を覗かせた。



“お、は、よ、う”



声を出さずに口パクでの挨拶。



それを見て、私は毎回微笑ましくなる。



これは、私と霧島くんの何度目かの
朝のお決まり。



缶コーヒー2本片手に私は図書館へ
入る。



『はい、おはよう。』



不意打ちした時の嬉しそうに笑う顔が
可愛いと思ってしまう。



“友香ちゃんが来るの、たまにここから見てる”



いつしか霧島くんはこんなことを
言ってた。



カーテン越しに外を見る。



『あ、ホントだ。駐車場よく見えるね。』