ジリリリリ!

突然けたたましいアラームが鳴り出した…。

この時刻に設定した覚えはない。

デジタルに表示された時刻は、8:88。

壊れたのか…。そう思って時計に手を伸ばした時…。

8:87、8:86、8:85…。カウントダウンが始まった。

「なんだよこれ!?」

一秒刻みで減って行く数字。

なんとも言い知れぬ恐怖を感じた。

残りは8分なのか…?800秒なのか…。

「なんだよ…?ゼロになったらどうなるんだよ?」

単なる故障とは思えない事態に、恐怖心が増した。

時計を止めようと手に取った瞬間…。ブルルルル!

震えた。携帯のバイブ機能と同じ感触だ。

驚いて時計を落とした。

電池を抜いて止めようかとも思ったが、震えた感触が手に残っており、再び触ることを躊躇った。

残り7:99…。秒数だ…。

「どうなるんだよ?どうすれば止まるんだよ…」

叩いて破壊するしかない。

そう思ったが、壊した途端に、何か事が起きる予感がした。

「部屋を出よう!」

そう思い、玄関で靴を履こうとした瞬間…。震えた。

靴が震えた。堪らず腰が抜け、尻餅を着いた。

「た、助けて…」

恐怖に震え、大声も出ない。

そのまま気が遠くなった…。











どれくらいの時間が経ったのか…。

時計に目をやると、
5:64…10:86。5:64…10:86

「なんだ?これ…。
こ、ろ、し、て、や、る」

自分の中の恐怖心がそう読ませたのか、点滅を繰り返していた。

「いやだー!」

…目が覚めた。時計は0:59を表示している。

「あと、59秒!」

呆然とした、その時。

1:00を表示した…。

「夢だったんだ…」

安堵して、仰向けになって目を閉じた。

全身汗まみれになっていた。

「シャワー浴びよう」

バスルームに入ったその時…。

カウントダウンが再始動された…。