「おい」
聞き慣れない低い声。
嗅いだことのあるような
男物の香水の香り。

「起きろって…」
なんか、あったかい…

「いい加減に起きろよ」

「…ん?」

「あ、やっと起きた…」

記憶が戻ってきた。
私は、大泣きしながら駅前をうろついていて、貧血で前が暗くなって…

それで、多分この人に倒れ込んだんだ。

「あ…ごめんなさい」

とりあえず私は立ち上がった。

目の前がくらくらする…

「ちょっ…お前…大丈夫か…」

私はまた倒れ込んだ。