どうしよう、迷っちゃった…。


私は学校見学に来ていて色々な所を見ていたら、いつの間にか迷ってしまった。


途中の所で階段を通り過ぎようとすると、上から扉の音が聞こえた。


…誰かいるのかな。


気になり、その階段を上がってみた。


どうしよう、入っちゃだめだよね。


でも気になるし、少しだけなら…。


結局、私は入ることにした。


そーっと扉を開けてみた。


「うわーっ!すごーい!!」


そこは屋上だった。


空がきれいでながめが良くて、なんだかすごい落ち着く。


「ここ、部外者は立ち入り禁止なんだけど。」


えっ!?


後ろを振り返るとここの生徒と思われる男子がいた。


「す、すいません。えっと、学校見学で迷ってしまって、いつの間にかここに行きついてですね…」


ど、どうしよう…。


…ん?てゆーか今授業中じゃないの?


「あの、今授業中なんじゃ…。」


「あぁ…でも、君には関係ない。」


関係ないって…確かにそうだけど。


ちょっとひどくない!?


ガチャッ


突然扉が開いた。




えっ!?今度は誰!?


てゆーかどうしよう(汗)


すると、さっきの男子が私の腕を自分の方へ引っ張った。


「へっ!?ちょっ!!」


「しっ黙ってて。バレたらお互いまずいだろ?」


そう言いながら私の口を男の子の手が覆った。


ふぉっ!て、手が!!


しかも、もう1つの手が腰にまわってる!!


「おーい、キリー?いるんだろ?」


「はぁ、あいつか…。」


どうやらこの人の友達らしい。


そりゃ探すよな、授業だったんだし。


でも、終わったのか…?


「じゃあ、俺は先に出て教室戻るから。見学はもう終わったのか?」


「え、あっはい。」


「帰る時はさっきの階段を1階まで降りて、右に曲がって、少し歩くと広いとこに出てから。そこの左の所が生徒以外の出入り口だ。」


「は、はい。」


「じゃ、気ぃつけて帰れよ。」


そう言って彼は友達のもとへ行ってしまった。


一応心配してくれたんだ…。


あ、名前。


聞いてけばよかったな…。


気づけばもう2人の足音は聞こえなかった。


…よし、そろそろ行くか。


帰りは無事帰れたのでした―――――――




知ってるのはあの
“キリ”っていう名前だけなんだよね…。


「杏子?おーい、杏子ー
!!」


「へっ!?あ、えと、なんだっけ?」


思い出にふけってしまった(汗)


「杏子はなんでこの高校にしたか聞いてんの!」


「あぁ、そうそう!えーと…屋上!屋上に行ったら空とかながめが良くて
!!」


嘘はついてません!!


「それだけでここにしたの?」


「あ、まぁ…。」


バレた…?


「よくそれで受かったね。そうか、頭が良いのか!」


「いやいや、そんなことはないよ?絶対。」


そりゃーあの時は受かりたくて必死に勉強しましたが…。


「まぁ、とりあえず教室行こ!」


「うん♪」




教室の中は結構にぎやかだった。


2人で黒板に貼ってある座席表を見るとなんと、2人の席が前後だった。


「やった!あたしもう席替えしなくていいー♪」


「私もー!!」


すごい!


クラスが一緒で席まで近いなんて。


少しすると、入学式が始まった。




……はぁ、校長先生話長いなぁ。


「えー、それでは次に生徒会長からのお話です。」


もう話なんかいらないよ…。


「新入生の皆さん、入学おめでとうございます。生徒会長の向井桐です。」


「「「キャーーー!!」」」


ふぉっ!!すごい…。


てゆーか……ん?


今、“キリ”って聞こえたような…。


さっきまで俯けていた顔をあげた。


しかし遠くて生徒会長の顔がわからない。


「この学校には、色んな楽しい行事があります。たくさん思い出を作って学校生活を楽しんで下さい。」


そう言って生徒会長はステージから降りた。


その後他の先生たちの話があり、入学式が終わった。



「はぁ…かったるかった。」


「だね。」


私なんか少し寝そうになっちゃったもん。


「でもさ、生徒会長すごい人気だよね!」


「ねぇ、生徒会長ってそんな有名なの?」


「そりゃそうだよ!」


梢は少し興奮しながら話し始めた。


憧れの存在と言われている向井桐先輩。


2年生で生徒会長をしている彼は“容姿端麗”、“成績優秀”、“運動神経抜群”おまけに優しくて頼れる…などなど、とにかくスゴイ人らしい…。


…でも世の中そんな完ペキな人なんていないよ。




すると、梢は呆れているのか大きなため息をはいた。


「杏子、相変わらず学校の有名人に疎いね。」


「え、そう?」


てゆーか、相変わらず??


「うん。小学校の時の池田とかさ。」


「…池田くん?とりあえず、モテてた子…とか?」


誰だっけ、てゆーかあんまし覚えてないんだよなー…。


「はぁー…ったく。」


いやいや梢ちゃん。そんな呆れたような目で見られても…。


すると、担任の先生が来てHRが始まり、委員会やらなにやら色々決めた。


しかし、何故か私が学級委員長になってしまった。




-杏子side-


はぁ、やっぱり学級委員断れば良かったなぁ…。


『このプリント3枚1セットでホチキスでとめておいてくれ。』


放課後、担任から雑用を頼まれたのだ。


やっぱりこういうのあると思ったけどさ…。


そう思っていると、何故か何もない所でつまずきプリントが散乱してしまった。


「あーもう……」


「大丈夫?」


……え?


1枚1枚拾っていると、男の先輩らしき人が拾ってくれた。


…い、イケメン!


きれいで整った顔。


茶色っぽい黒でさらさらな髪。


女の子より長そうなまつげと二重の目。


スッと通った鼻筋に
薄い形の良い唇。





「……い、おーい!」


「うぁっはい!」


「全部拾い終わったんだけど。」


ヤバい、見とれてた。


「すみません、ありがとうございました。」


「ちょっと!」


教室に戻ろうとすると、先輩に呼び止められた。


「…はい。」


何……?


「…いや、君、学級委員?」


「…そうですけど。」


「今度学級委員長たちの会議があるから忘れないようにね。」


そう言って先輩はにこっと笑って行ってしまった。


「あ、はい…。」


それだけ…?


まぁいっか。


プリント早く終わらせて帰ろっと。


しかし、枚数が多くて大変だったことはいうまでもなかった。