-杏子side-


「わぁ~、ついにここに入学かぁ…」


桜が満開な4月。


今日から私は高校1年生です!!


クラス表が貼り出されていて、みんな自分がどのクラスか探している。


え~と、私はどこの
クラスかなぁ~…


「「あった!」」


…え?


横を向くと、ロングでポニーテールの女の子と目が合った。


その女の子は少し考えているようだ。


「…あ!」


えっ何!?


「もしかして、杏子?」




「えっ!?なんで…」


なんで私の名前知ってるの??


「あたし!梢だよ!!」


梢…?えーと……あ!!


「梢ちゃん!?小学校の時の!!」


「うん!久しぶり~!!」


「本当、久しぶりだね~!!」


梢ちゃんこと徳山梢
【トクヤマ コズエ】は小学校の時、大の仲良しだったが
遠くへ引っ越してしまい
それ以来ずっと会っていなかったのだ。




「え、でもなんでこの高校に…?」


「あぁ、ここ運動部が
結構強いからさ!」


へ~そうだったんだ!
知らなかった。


「じゃあ、運動部系なんだ。」


「うん。バスケとか!」


「すご~い!!」


バスケか~。


シュートした時とかかっこいいよね~。


「杏子は?なんでここにしたの??」


「え!?あ、え~と…」


ある人を追いかけてなんて言えない…。


あれは、学校見学に行った時だった―――――





どうしよう、迷っちゃった…。


私は学校見学に来ていて色々な所を見ていたら、いつの間にか迷ってしまった。


途中の所で階段を通り過ぎようとすると、上から扉の音が聞こえた。


…誰かいるのかな。


気になり、その階段を上がってみた。


どうしよう、入っちゃだめだよね。


でも気になるし、少しだけなら…。


結局、私は入ることにした。


そーっと扉を開けてみた。


「うわーっ!すごーい!!」


そこは屋上だった。


空がきれいでながめが良くて、なんだかすごい落ち着く。


「ここ、部外者は立ち入り禁止なんだけど。」


えっ!?


後ろを振り返るとここの生徒と思われる男子がいた。


「す、すいません。えっと、学校見学で迷ってしまって、いつの間にかここに行きついてですね…」


ど、どうしよう…。


…ん?てゆーか今授業中じゃないの?


「あの、今授業中なんじゃ…。」


「あぁ…でも、君には関係ない。」


関係ないって…確かにそうだけど。


ちょっとひどくない!?


ガチャッ


突然扉が開いた。




えっ!?今度は誰!?


てゆーかどうしよう(汗)


すると、さっきの男子が私の腕を自分の方へ引っ張った。


「へっ!?ちょっ!!」


「しっ黙ってて。バレたらお互いまずいだろ?」


そう言いながら私の口を男の子の手が覆った。


ふぉっ!て、手が!!


しかも、もう1つの手が腰にまわってる!!


「おーい、キリー?いるんだろ?」


「はぁ、あいつか…。」


どうやらこの人の友達らしい。


そりゃ探すよな、授業だったんだし。


でも、終わったのか…?


「じゃあ、俺は先に出て教室戻るから。見学はもう終わったのか?」


「え、あっはい。」


「帰る時はさっきの階段を1階まで降りて、右に曲がって、少し歩くと広いとこに出てから。そこの左の所が生徒以外の出入り口だ。」


「は、はい。」


「じゃ、気ぃつけて帰れよ。」


そう言って彼は友達のもとへ行ってしまった。


一応心配してくれたんだ…。


あ、名前。


聞いてけばよかったな…。


気づけばもう2人の足音は聞こえなかった。


…よし、そろそろ行くか。


帰りは無事帰れたのでした―――――――




知ってるのはあの
“キリ”っていう名前だけなんだよね…。


「杏子?おーい、杏子ー
!!」


「へっ!?あ、えと、なんだっけ?」


思い出にふけってしまった(汗)


「杏子はなんでこの高校にしたか聞いてんの!」


「あぁ、そうそう!えーと…屋上!屋上に行ったら空とかながめが良くて
!!」


嘘はついてません!!


「それだけでここにしたの?」


「あ、まぁ…。」


バレた…?


「よくそれで受かったね。そうか、頭が良いのか!」


「いやいや、そんなことはないよ?絶対。」


そりゃーあの時は受かりたくて必死に勉強しましたが…。


「まぁ、とりあえず教室行こ!」


「うん♪」




教室の中は結構にぎやかだった。


2人で黒板に貼ってある座席表を見るとなんと、2人の席が前後だった。


「やった!あたしもう席替えしなくていいー♪」


「私もー!!」


すごい!


クラスが一緒で席まで近いなんて。


少しすると、入学式が始まった。