「一緒に写真撮って下さい!」


ほら、また。


「成瀬杏子さんですよね?」とか聞かれたりして写真を撮り終えた。


何人かそういう人がいてびっくりした。


なんで私の名前知ってんだろう……


「ふぅ…。」


そこに梢ちゃんが「そろそろ交代だって。」と、声をかけてくれた。





午後は梢ちゃんとまわることになっている。


「そういえばさ、あんた明日どうするの?」


「梢ちゃんは?」


「明日は午前中はずっとバスケ部のに出て、もしかしたら午後もかも。」


「そっか。」


どうしようかなぁ……


「会長とはまわらないの?」


……えっ?






「いやいや、まわらないよ!」


先輩人気だろうし、そんなところに誘いに行ったら女の子たちに睨まれちゃうよ。


「なんで?嬉しいと思うよ?」


「いいよ、ゆっくり1人でまわる。」


「そっか。じゃあ、今日は色々まわろう!」


「うん♪」


「さっき杏子すごい人気だったね!」


「名前知られててびっくりした。梢ちゃん女の子たちからすごい人気だったよね(笑)」


「女の子からってのはびっくり(笑)」


そんな感じで、話しながら見てまわった。






文化祭2日目です!


今日梢ちゃんはバスケ部の方に行ってるし、クラスの方の当番はないし。


私はもうぶらぶらしている途中です。


暇だなぁ……


先輩は人気だし、生徒会のこともあるもんなぁ…


でも、ちょっとだけ先輩のクラスのみたいな…


…よし、行こう。






確か、人探しだっけ?


何かの役になってんだよね。


5人全員のスタンプを集めると景品もらえるって言う……


先輩も無理やりやらされたって言ってたけど、何の役なんだろう…


…ん?


近くでキャーキャー女子たちの騒いでる声が聞こえる。


なんだろう……






……!?


そこには、白衣を着て、メガネをかけた医師の格好をした先輩が大勢の女子に囲まれていた。


いた!


けど、近づけないしあの中には入れない…


それに、なんか心がチクチク痛む。


先輩と目が合う前に他のところに行こう…


私はとりあえず、この場所から離れた。






‐桐side‐

「写真一緒撮って下さい!」


俺は着替えに戻る途中だった。


もう俺のやる時間は終わったってのにまだ言ってくる奴がいる。


さらに今は囲まれてしまい、完全に抜け出せない状態だ。


昨日は成瀬のクラスに行ったら、忙しそうだったし、今日午後誘おうと思ったのに……






なんとなくフッと周りを見ると、見覚えのある後ろ姿が見えた。


……あれ、成瀬?


行こう、見失う前に。


「ちょっとすいません。通して下さい。」


そう言って通してもらったが、何人かの人はまだついてきていた。


うわっマジかよ!


何故か追いかけられ、逃げる羽目になった。






‐杏子side‐

私はあれから、図書室に行った。


ここなら静かだし、誰も来ないよね……


ここなら、少しぐらい泣いても誰にも見られないし。


「格好良かったなぁ…」


あんなに囲まれちゃって本当に人気者なんだな。


…ダメだ。


こんなにも好きになっちゃったんだ……