-杏子side-


はぁ、やっぱり学級委員断れば良かったなぁ…。


『このプリント3枚1セットでホチキスでとめておいてくれ。』


放課後、担任から雑用を頼まれたのだ。


やっぱりこういうのあると思ったけどさ…。


そう思っていると、何故か何もない所でつまずきプリントが散乱してしまった。


「あーもう……」


「大丈夫?」


……え?


1枚1枚拾っていると、男の先輩らしき人が拾ってくれた。


…い、イケメン!


きれいで整った顔。


茶色っぽい黒でさらさらな髪。


女の子より長そうなまつげと二重の目。


スッと通った鼻筋に
薄い形の良い唇。





「……い、おーい!」


「うぁっはい!」


「全部拾い終わったんだけど。」


ヤバい、見とれてた。


「すみません、ありがとうございました。」


「ちょっと!」


教室に戻ろうとすると、先輩に呼び止められた。


「…はい。」


何……?


「…いや、君、学級委員?」


「…そうですけど。」


「今度学級委員長たちの会議があるから忘れないようにね。」


そう言って先輩はにこっと笑って行ってしまった。


「あ、はい…。」


それだけ…?


まぁいっか。


プリント早く終わらせて帰ろっと。


しかし、枚数が多くて大変だったことはいうまでもなかった。





-桐side-


…正直驚いた。


ジーっと見られたからまた、色々言われるのかと思った。


実際、自分がそこそこモテてるという自覚はあった。


女子から話しかけられたり、告白も何回かあった。


でも、それは外見上の話でいつもただ周りに偽りの笑顔を見せてるだけだ。




だから、あの子…


成瀬杏子が俺のことを知らなかったことに驚いた。


…それに、あっちはあの日のことを覚えているのだろうか。


まぁ、これからが楽しみだなぁ~♪


そう思いながら帰った。





-杏子side-


「じゃあ、学級委員の頑張ってね!」


「梢ちゃんも部活頑張ってね!」


「おぅ!」


お互いそう言って別れ、私は集まる場所である生徒会室に向かっていた……が。


「…どこだっけ?」


あれ~?


場所なんかあまり覚えてないんだよなぁ…。


「どうしたの?」


振り返ると、かっこいい感じの男の先輩だった。


「あ、えっと、生徒会室に向かってたんですけどよくわかんなくて。」


「君、学級委員長?」


「あ、はい。」


何だろう…。


「俺も今から行くところだったんだ。一緒に行こっか!」


「はい!」


そうだったんだ。


良かった~。


ひとまず安心…。




「君、名前は?」


「成瀬杏子です。1年5組の学級委員長やってます。」


「へ~。俺は白河柊
【シラカワ シュウ】。2年で、生徒会の副会長やってるんだ。」


「へ~、そうなんですか…。」


意外だなぁ…。


見た目的にそんな風に見えない…。


「今見た目と合わないと思ったでしょ。」


えっ!?


まさか、顔に出てた!?


「あ、いや、その…。」


「ハハ、別にいいよ。あそういえば、杏子ちゃんってこの前桐と一緒にいた子?」




「……え?」


この前?


てゆーか、桐って…


「桐とプリント一緒に拾ってただろ?」


プリント……あ!!


「あの人が生徒会長だったんですか!?」


「やっぱり杏子ちゃんだったんだ。…え?てゆーか、桐のこと知らなかったの?」


「え?まぁ…。入学式の時は遠くて顔わかんなかったし、友達に聞いて初めて有名な人だって知りました。」


いやぁ、まさか生徒会長だとは思わなかった。


まぁ、確かにあの人はかっこよかったけど…。


「まさか桐を知らない子がいると思わなかった…。」


「えっ?」


「あ、ううん。ここが生徒会室だよ!」


そう言って白河先輩は、生徒会室の扉を開けた。




「失礼します…。」


中に入ると、既に何人か集まっていた。


ホワイトボードになにやら色々書いている人がいた。


「あ、プリント拾ってくれた人!」


「!?」


その人はびっくりしたのか、驚いた顔でこっちに振り返った。


あ、そういえば生徒会長だったんだっけ。


「あ、すみません。」


「いや?そういえば君だったね、成瀬杏子さん。」


そう言ってにこっと笑う。


…ん?


「なんで、名前…」


「とりあえず、適当に座って。他の人もそろそろだと思うし。」


あれ、スルーされた?


「あ、はい。」


言われた通り、空いてる席に座った。




「じゃあ、俺は杏子ちゃんの隣に座ろうかな♪」


白河先輩はそう言って私の隣に座ろうとした。


しかし、そこで生徒会長が言ってきた。


「お前は副会長なんだから前だろ。」


「あ、そうでした。じゃあね、杏子ちゃん。」


「あ、はい。」


そう言って、生徒会長の隣の席の方へ移動していった。


白河先輩は生徒会長に
『じゃあねって、同じ教室にいるだろ。』と突っ込まれていた。


少しすると、他の人たちも来て、会議(?)が始まり、内容はそれぞれの自己紹介と行事についてだった。