「会長を見るとドキドキする?」


「…うん。」


たまに出るあの優しい笑顔とか。


「会長といて、ホッとする時ある?」


「…うん。」


頭を撫でられた時とか、遊園地で助けてくれた時とか……


「たまに胸が苦しくなる時ある?」


「…うん。」


最近ちょっとそんな感じだし……






「はい、分かりました。それは完全なる恋です!」


……えっ?


「……恋?」


「うん!杏子は会長のことが好きなんだよ!」


「…まさか~」


「だって、モヤモヤするんでしょ?ドキドキするんでしょ?」


「…ん、まぁ。」


確かにそうだけど……






「少し会長のこと意識してみたら?」


「…ん、でも。」


今まで梢ちゃんには言ってなかったけど、あの時の“キリ”って人のことを話した。


「それ絶対会長だよ!
“キリ”って名前の人なんて珍しいもん。ねっ?気にしてみたら?」


「うーん……」


確かにそう言われてみるとそうだよね……


あの人もちょっと無愛想だったけど、帰り方教えてくれて優しかったなー……






「…うん。じゃあ、そうする。」


「うん♪あー楽しみだなぁ……。」


梢ちゃんは一人楽しそうにニヤニヤしていた。


「あっ9月は文化祭あるよね!」


「そうだね、何するんだろうね!」


「これで余計に意識するのかな?…フフッ♪」


……またにやけてる。


「梢ちゃん、さっきからおかしいよ?」


「えっ?大丈夫大丈夫♪」


本当に大丈夫かな……


こうして、残りの夏休みが終わった。






‐杏子side‐

「えー、文化祭何かやりたいものありますか…」


夏休みも終わり、2学期始まってすぐに文化祭の話し合いになった。


そして、何個か黒板に書かれている。


文化祭かぁ…


お化け屋敷とか、なんとか喫茶とかが定番だよね……


先輩のところは何やるのかな……






「……ず、杏子!」


「うわっ!びっくりしたどうしたの?」


「いや、杏子は何かやりたいものあるのかなと思って…。ボーッとしてたよね?もしかして、会長のこと考えてた?」


「なっ違うよ!」


間違ってないんだけど。


「本当か~?」


「本当!梢ちゃんは何やりたいの?」






「流しそうめんとか!9月ってまだ暑いじゃん?それに楽しそうだし♪」


「それ場所とりそう…」


確かに楽しそうだし涼しくなりそうだけどね。


結局、最終的に残ったのは《お化け屋敷》《カフェ》《流しそうめん》だった。


…何気に流しそうめん残ってるよ。






「じゃあ、多数決とります。」


梢ちゃんに言われて、流しそうめんに手を挙げたが、結果カフェになった。


「カフェかぁ…」


梢ちゃんは少し悔しそうだった。


「頑張ろう!」


「うん!」


上手くいくといいなぁ…


私と梢ちゃんは装飾係になった。






何日かがたち、装飾係で放課後残ることになった。


私と梢ちゃんはその中で看板の創作に取りかかった。


バスケ部である梢ちゃんは、最初の方はこっちの作業をしてくれるらしい。


それぞれ話しながらも少しずつ進んでいる。


「……あっ。」


「どした?」