‐杏子side‐
あれから何日かたち、今日は梢ちゃんと家でお勉強です。
…なのに、心がモヤモヤしてあまり集中できていない。
「うーん……」
「どした?杏子。」
「なんか、モヤモヤする。」
「問題解けないからじゃなくて?」
「違うよー……」
ひどいなー、頑張って解いてますよ。
「いつから?」
「んー、花火大会あたり?」
いや、もうちょっと前か?
「屋台で変なもん食べた?」
「普通にりんご飴とかフランクフルトだよ?」
「えー?……あ、待てよ」
ん?何1人でぶつぶつ言ってんだ、梢ちゃんは。
「そのモヤモヤって、考えると生徒会長出てくる?」
…えっ!?
「うん!何でわかったの?」
「そういうことか……」
そう言って、梢ちゃんは私を見ながらニヤニヤしていた。
な、何……?
「つまり、杏子は生徒会長が好きってことなんだね♪」
……は?
「何でそうなるの?」
私があのドS生徒会長を?
あり得ないよ、そんなの。
「杏子は自分の気持ちにも疎いんだね。」
「いやいや。」
そんなこと言われても。
「じゃあ、これから言う質問に答えてね?」
「…?うん。」
なんだろう…
「会長を見るとドキドキする?」
「…うん。」
たまに出るあの優しい笑顔とか。
「会長といて、ホッとする時ある?」
「…うん。」
頭を撫でられた時とか、遊園地で助けてくれた時とか……
「たまに胸が苦しくなる時ある?」
「…うん。」
最近ちょっとそんな感じだし……
「はい、分かりました。それは完全なる恋です!」
……えっ?
「……恋?」
「うん!杏子は会長のことが好きなんだよ!」
「…まさか~」
「だって、モヤモヤするんでしょ?ドキドキするんでしょ?」
「…ん、まぁ。」
確かにそうだけど……
「少し会長のこと意識してみたら?」
「…ん、でも。」
今まで梢ちゃんには言ってなかったけど、あの時の“キリ”って人のことを話した。
「それ絶対会長だよ!
“キリ”って名前の人なんて珍しいもん。ねっ?気にしてみたら?」
「うーん……」
確かにそう言われてみるとそうだよね……
あの人もちょっと無愛想だったけど、帰り方教えてくれて優しかったなー……
「…うん。じゃあ、そうする。」
「うん♪あー楽しみだなぁ……。」
梢ちゃんは一人楽しそうにニヤニヤしていた。
「あっ9月は文化祭あるよね!」
「そうだね、何するんだろうね!」
「これで余計に意識するのかな?…フフッ♪」
……またにやけてる。
「梢ちゃん、さっきからおかしいよ?」
「えっ?大丈夫大丈夫♪」
本当に大丈夫かな……
こうして、残りの夏休みが終わった。
‐杏子side‐
「えー、文化祭何かやりたいものありますか…」
夏休みも終わり、2学期始まってすぐに文化祭の話し合いになった。
そして、何個か黒板に書かれている。
文化祭かぁ…
お化け屋敷とか、なんとか喫茶とかが定番だよね……
先輩のところは何やるのかな……