ときくんには大事な人がいるから…
澤田さん以上に大事な人がいるから言い
返せなかったんだ…。
私と津田くんはそんな気まずい病室を後 にした。津田くんは家まで送ってくれた 。でも会話は全然なかった。駅につくと
津田くんがこの沈黙を破った。
「なあ…大丈夫か?」
「え?」
「辛いなら辛いって言えよ?」
「うん…」
「むちゃすんなよ?」
「うん(泣)」
あれ…なんでだろ。涙が止まらないよ。
私の涙を見た津田くんは急に私を強く抱 きしめた。
「津田…くん?」
「泣きたい時は俺に言え。いつでも胸貸 すから。」
「うん…(泣)」
津田くんの胸はとても温かかった。
家につくと津田くんは
「じゃあまた明日。」
と言い静かに帰っていった。
あんなに静かだったのにどうして私は
こぅちゃんからの電話に気づく事が出来 なかったのだろう…
家の中に入りケータイを開くとこぅちゃ んからの7件の着信。メールも5件入って
いた。
“♪♪~”
また電話がかかってきた。
「はい、もしもし。」
「あ!やっと出た。紗耶香大丈夫?なん かあった?」
「いやなんもないよ♪友達と遊びに行っててメール見れてなくてさ。ごめんね。」 「そうなんだ。試合!明後日だな♪お互い頑張ろうな!じゃあおやすみ。」

私は電話を切ったあとまた涙が
溢れだした。
なんで私は大事な事をこぅちゃんに
伝える事が出来ないんだろう…
どうしていつも津田くんばかり頼って
しまうんだろ…
そんな自分に腹を立てていた。

次の日もまたいつものように学校へ
行き部活へ行きそして病院へ行った。
津田くんと一緒に…