そして私と津田くんはしばらく会話が
なかった。
「これから毎日病院覗こうか♪」
「え?」
「澤田だって大事なマネの1人なんだし
な!!」
「そうだね♪」
津田くん…気使ってくれているだろね…

その日は駅でバイバイした。

次の日。
学校へ行くと珍しく美紀が休みだった。
私は休み時間に電話をした。
“プルプルーっ”
「はい。」
「あ!美紀?大丈夫?」
「うん。朝から少し体調良くなくて…
ごめんね。」
「いいよいいよ♪無理せずにね?」
「ありがとう。」
美紀が休みだから部活ではいつもの
倍忙しかった。

だけど津田くんが手伝ってくれたから
私はとても助かった。
「津田くんありがとう♪」
「困ったときは頼れって言っただろ?」
「ありがとう♪」
津田くんの何気ない優しさに私は
いつも助けられている。
練習が終わると今日も私と津田くんは
澤田さんのお見舞いへと行った。

澤田さんは個人部屋に移り変わった。
その部屋がある階につくとなぜか
あわただしかった。
先生や看護師さんはみんな
【澤田 里菜】と書いている部屋に
慌てて入っていく。

「森さんと津田くんだったわよね?」
振り向くと澤田さんのお母さんがいた。
「騒がしくてごめんなさいね?朝から
ずっとこんな感じなの…里菜も必死で
頑張ってるのに私は何も出来なくて(泣」 澤田さんのお母さんの目から涙が溢れ出 てきた。
しばらくすると澤田さんの状態がましに
なり先生と看護師さんは病室を後にする 。
「おばさん!!」
長い病院の廊下を全速力で走りながら叫 んでいるのはときくんだった。
「ときくん…」
「里菜は!?大丈夫なんですか!?」
「今は落ち着いてるわ。」
「そう…ですか。」
「ときくん…もうあの子は大丈夫。とき くんといた日々は楽しかったはず。もう
あの子は大丈夫だからときくん。あなた
は幸せになって。」
「…」
「今まで里菜といてくれてありがとう(泣 」
ときくんはもう何も言い返さなかった。
いや違う。言い返せなかったんだ。
ほんとに心から好きな人ならば
“俺には里菜しかいない!!”とか言える
かもしれないけどときくんは違う。