「だからお願いです…あともう少しだけ許してくれませんか?」
そんなの…私が決めれる事じゃないよ。

「…誰にも私の病気の事ばらさないでね?誰にも知られたくないの。」
「それは分かってる。でもそれでときくんと付き合ってるとかは私が口出しできない…ただ力にはなりたいから、私一度ときくんとか美紀とちゃんと話させて?」
「うん、ありがとう。」
澤田さんには時間がないのに…
私がこうやって迷っている間にも
澤田さんの死は近づいてきている。
早く…早く私がどうにかしないと。

そして澤田さんとはバイバイして
私は電車にのり帰った。

駅で…
「な、なんで?…」
夢?これは夢なの?…
夢じゃないならどうして…
耕大くんと美紀が抱き合ってるの?
私の見間違いなんかじゃない。
あれは耕大くんと美紀。

どうして…?

「(泣)…!? さ、紗耶香?!」
「え!?…」
私の存在に気づいた二人はすぐに
離れた。

「ねぇ…これどういう事?」
「違うの紗耶香!あのね?」
「言い訳なんて聞きたくない。」
「だから違うの!あたしは」
「私…美紀信じてたのに…ほんとは心の中で笑ってたんでしょ?だったら言ってくれたらよかったのに。」
涙が溢れてきた。

「あたし別に岡本の事なんて!」
「邪魔しちゃってごめんね、じゃあ私帰るから。バイバイ。」
そうして私は早歩きでその場を去った。
ダメだ…涙がとまらないよ。
どうして?耕大くん…
あの時の約束は?
あの約束は嘘だったの?
私の事嫌いになっちゃった?
ねぇ…大好きだよ?
耕大くんが大好き。

でも…この気持ちは迷惑だったんだね。
なら私は頑張って耕大くんを
忘れるよ。

私はポケットから携帯を取り出した。
そしてあの時に約束したストラップを
しばらく見つめた。

『ずっとずーっと待ってる。』
そう心に誓ったけど迷惑なら
こんなストラップもういらない。

「紗耶香!」
「?!…耕大くん(泣)」
振り向くとそこにいたのは私の
愛しくて愛しくて仕方のない耕大くん
だった。
耕大くんは私の涙を拭って突然抱きしめられた。