「ときに他に好きな人が出来たから。」
「うそ…」
「嘘じゃないよ、このクラスにその子
いるよ。澤田さんだよ?」
「え…」
澤田さんは学年一とていうぐらい可愛くてサラサラのロングヘアが似合ってて目がくりくりした小柄な女の子。
「なんでよりによってって感じだよ
ねー。」
「うん。」
美紀はとても寂しそうな顔をしていた。
こんな美紀を見るとときくんが
大好きだったんだなって伝わる。

「森さん♪ちょっといいかな?」
いきなり澤田さんに話かけられた。
美紀はそんな澤田さんを睨んで
教室を出て行った。
「いきなりごめんね…」
「いや、私は別にいいけど…」
「井上さんが怒るのに無理はないの。」
「え?」
「私が悪いの。井上さんを想ってる
ときくんを見て…ときくんの笑顔を
見て私がときくんを好きになっちゃ
って私から告白したの。」
「ときくんは?」
「最初は無理って言ってたんだけど
私がずっと追っかけてたからOK
くれたの…。」
「ほんとにごめんなさい。」
そう言うと澤田さんはどこかへ
行ってしまった。

私は自分の席に座って津田くんが
いつもと様子がおかしい事に気が
ついた。

「津田くん…どうしたの?」
「どうしたもなにも昨日耕大から
いきなり電話してきて意味分からん
事言われたんだよ!」
「意味が分からない事って?」
「なんか…必要以上に紗耶香に近づく
なとか紗耶香に色目使うなとか…
あいつ意味がわからないわ。」
「へー(笑)」
耕ちゃんそんな事津田くんに
言ってたんだ(笑)
可愛いんだから♪

私は放課後いつものように部へ行った。

マネ室に入るとすでに美紀がいた。
「美紀早いね♪」
「あたしマネ今日でやめるわ。」
「え?」
「ときを見てると辛いから。」
「でも…」
「大丈夫だよ、新しいマネ来るらしいし。」
「新しいマネ?誰それ…」
「澤田さんだよ。ときが誘ったらしい。私まだ大好きな人の今カノと一緒に頑張るとかそんな事出来ないしときと澤田さん見てるの嫌(泣)」
「美紀…」

私ははじめて美紀の涙を見た。
美紀はときくんが大好きだったんだ。
なのに…
私なんて声かけたらいいんだろ…