その相手はなかなかしぶとくて
とても良い戦いだった。
「耕大くん頑張って!」
私は小声でそう言った。

ピーっという笛の音と同時に
耕大くんは騎馬から落ちた。
判定は相手が先に円から出てたから
赤の勝ちだけど
私には分かった。

耕大くんは騎馬から落ちて
足が動かなくなっている。

私は限界まで近づいて耕大くんに向かって叫んだ。
「耕大くん!!無理しないで!」
耕大くんは一瞬私を見た。
でもまたすぐに騎馬に乗った。

そしてついに相手の大将が出てきて…

「耕大、あんま無理すんなよ?まじあぶねーから。」
「うるせー、今からが大事なんだよ。」

笛の音と同時に始まった。

次に笛が鳴ったときに帽子をかぶったままだったのは…耕大くんだ。
「や、やったー!!」
私はつい大声を出してしまった。

私はみんなが入退場する入り口へと走って行き、耕大くんを見つけると
「耕大くん大丈夫?でもかっこよかったよ♪」
「ありがとう。」


「おい耕大!お前保健室行けよ?」
「ああ。今から行く。」

「私、付き添うよ♪」
「え?でも…」
「さっ!!行こう♪」
私は耕大くんを必死で支えながら保健室へ行った。
保健室へ行くと…
「岡本くん!!さっき見てたわよ?まったく、無理なんかするから!」
「すいません…」
「まぁしばらくはここでゆっくりしてなさい。ひびも入ってないみたいだし湿布だけ貼っておいたから。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ私運動場行ってくるから。」
そう言うと先生は出て行った。

「ちゃんと見ててくれた?」
「うん。」
「…どうだった?」
「すごくかっこよかった。」

私は耕大くんがこんなにも必死で騎馬戦をしたのかこの時はまったくわからなかった。
もう少し早く分かってたら
私は違う道を歩いていたのかな。