それから一週間
ずっと彼は来なかった。
その一週間
ずっと私はため息ばかりついていた。
もう、来ないのかな…。
さすがに一週間来なかったら、もう飽きたって事になるよね
…寂しい。
毎日楽しみだった観察がなくなる事もそうだけど。
…もう彼を見ることが出来ないってことが。
"話し掛けてみたら?"
不意に夏樹の言葉が浮かぶ。
そうだね…。
もっと早い内に話し掛けてみたら良かったかな。
そしたら、もう少し、何かが違ってたのかな…。
「……………会いたい。」
ポツリと呟いた。
ただ見つめるだけだった。
近くない距離から。
何も変わらないのも分かっていたのに。
観察って言葉を建て前にして毎日楽しみだったの
日に日に違う態度をとる彼に、心が惹かれてたの。
すり寄ってきた小さな犬を抱き上げた優しい彼を
ただボーっと空を見上げる彼を
雨にもかかわらず公園に来る彼を
最後に見た、荒れていた彼を
「っ……………、」
どうして涙がでるの?
…まだ何も始まってないのに。
…何も始められなかったのに。
ただ見てるだけの臆病な私に、泣く理由なんてないのに。