優奈、
だったらいいのに。
なんて。
全部、全部
俺のすべてが優奈で埋め尽くされすぎていて
泣きたくなる。
繋いだ手も、小さく触れた肩も、
見つめ合った目も
重ねた唇も
2人で眺めた月でさえ、
「………………………優奈」
もう一度
ジャリ、と
音がした。
「……え…?」
コロン、と手からお守りが転がる感覚。
「………あ…」
頭上から女の子の声がする。
…誰?
静かにそれを見上げる。
か細い足にスカート、
赤色のカーディガンにストレートの髪の毛
公園の街頭を頼りに見えるその姿は可愛らしく
…全く、
雰囲気は違う、のに
「………優奈…?」
そこには、優奈がいたような気がして。