『私じゃ、修也を幸せに出来ない。』


返された指輪。

ムリヤリ押し付けた指輪。


信じていたから。

絶対優奈はまた、元気になると。



『これ、買ったの?……作った?…嘘?え?え?』



優奈を励まそうと、柄にもなく手作りのお守りまがいなものも作った。

自分で作った方が、心がこもるかな、なんて、思って…


優奈に最後、返されたまま、今もそれは俺の手の中にある。



『…修也、泣いてるの…?』


そっと触れられた頬に

俺はヒドく後悔をした。

泣きたいのは優奈だったのに


『男でしょ!泣いちゃダメだよ。』


そう言って笑う優奈を歪んだ視界から眺めた。


今も、頭に残る



優奈の笑顔。





泣き顔


眠る顔も、苦しそうな顔も






「……優奈…、…」






ただ、泣くわけでもなく名前を呼ぶ。



まだ、受け入れていないわけじゃない。

信じきれてないわけじゃない。



…ただ、呼んだら、

優奈が返事をしてくれそうで。



また、笑いながら名前を呼んでくれそうで




情けないなぁ、って俺を叱ってくれそうで





「……優奈」



もう一度…




ジャリ、

と砂の音がする。



誰かが、近づいてる