手を私の後ろのガラス窓についた修也
あれ。
…待って。
近い。
いや、近い…と、いう、か
…なんか、
「こんな、展開も?」
エンジン音だけが響く。
車の外は真っ暗で、人が通る気配もない。
「…あ、の、ちょ」
修也の唇が近づく。
息づかいがわかる程、近い。
待って。
修也の手で身動きが取れない。
はや、くない?
いや、待って。
早いというか、私たち付き合ってないよね…?
付き合ってないというか、私たち正式に出会って、一日目だよね?
そんなことを頭でグルグル考えながらも、修也の唇は近づく。
待って
違う。これ
…待って待って待って!
「………………ふ」
ピタリ、と修也の動きが止まる。
ふ、の笑い声と同時に。
私は頭で色んな事を考えつつも体は一ミリも動かせないままだった。
目をパチクリさせる。
未だに修也の顔は近いまま。
「……愛理、ビビりすぎ」