「………へっ?」


びっくりしすぎてマヌケな声が出てしまった。

…でも確かにモニターにうつる人物は昨日見た青木さんで。

ソワソワした様子で立っていた。


…………………何で?


あ、れ

会えない…って思ってたのに。



…会えた。


…やばい。




嬉しい。




「あの、すみません。開けてくれますか?」

「あ、はっはい!はい!」


青木さんの声で我に帰りすぐに鍵を開ける。

少し指が震えてた。

そんな手でガチャンとドアを開ければ見上げる程に長身な青木さんが。


相変わらず綺麗な顔をして立っていた。



「…い、いらっしゃいませ?」


何と言っていいのか分からなくて口が先走ってしまった。

だって、私の目の前に青木さんがいる。

本当に、体が痛いくらい心臓が動いてる。


そんな私を見て、青木さんは少し笑った………気がした。


「上がってください」

「いえ、大丈夫。すぐ失礼するので。」


青木さんの敬語混ざりの口調が好きだ。

何でかは分からないけど。





…………………はっ。


"嫌われる勢いで"


また、夏樹の言葉が浮かぶ。

…そうだ。

私、本当にこれが最後のチャンスかも。

だってなんらかの用事を済ませたらきっと青木さんはすぐに帰る。



どうせ、終わるなら――――…



ギュッと強く拳を握った。



「いえ、上がってください!玄関じゃ落ち着かないし!」

「いや、聞きたいことがあるだけなので。」

「私が嫌です。客人を玄関に立たせたままなんて」

「気にしないから」

「気にします。上がってください」


どうぞ、と言わんばかりに私はリビングに入って行く。

後ろからは青木さんのため息が聞こえた。


…ちょっと落ち込むけど、大丈夫。

青木さんの記憶に刻まれたいから。