夜、夏樹と別れて今帰っている。
車を持ってないから電車に乗って駅から家まで歩いている。
真っ暗な中、街頭を頼りに足をすすめる。
「………あ…」
ふと足を止める。
あの公園を通りかかった。
彼が毎日通っていた公園は家の裏にあって帰り道では通りがからない場所にある。
なんで…。
…無意識に公園の方に歩いてた?
…有り得ない、私。
かなり重症だよ、これ。
ハァ、とため息をつきつつも公園を見渡してみた。
ベンチに彼の姿はない。
…当たり前、か
「…………帰ろ」
そう呟いて足を一歩だした時、
「………………な…」
公園にある遊具から、微かに声がした。
「…え。」
体が硬直する。
低くて、かすれた声。
…少し怖くなって早歩きでそこを過ぎようとした
その時
「……………ゆうな…」
ハッキリ、声がした。
ある、女の子の名前を呼ぶ、声。