「…そっか。」

「うん。」


久しぶりの休日、夏樹と出掛けた。

買い物をしてやっとひと段落ついたところでカフェに入った。

お洒落で人が多くて若い人が多いカフェ。

小さく音楽がかかっていて、何故か落ち着く場所。


「…私ね、こんなに私の生活の中に彼が入り込んでるって気づかなかった」

「…鈍感。」

「夏樹は分かってた?」

「当たり前でしょ。今まで愛理が特定の男の話をしてきた事があった?あんなに楽しげに」

「そうかな…。」

「1日来ないだけで私にメール送ってきたり」

「………う」

「少しタバコ吸っただけで心配したり」

「………うぅ」


やっぱり私自身が気づかなかっただけなんだ…。


「で?自覚はしたの?」


カフェラテを飲んだ夏樹が聞く。

私はただひたすらカフェラテを混ぜるだけ。


「自覚?」

「そう。好きだって自覚。」


一瞬カフェラテを混ぜる手を止めたけどまたすぐに再開した。


正直、分からない。

あんなに泣いたのも、今じゃ何でなのか分からない。

ただ悲しい、寂しい、だけの感情だけが残ってしまって。


「…悩んでる、自分でも」

「だよね。顔も性格もよく分からない男だしね。」


少し微笑んだ夏樹に少しホッとした。

好きって気持ちを押しつけられなくて。

自分だって分からないのに人にそうなんだって言われたくないもの。