「あたしは大丈夫だから…、おにーちゃんは先に…」



「待ってる。」



「いいから。先に…」



「却下。ってか、時間がもったいねーだろ。後5分、せいぜい足掻け…よっ!」



急にしおらしくなったあたしに何か思ったのか、最後にポンッと頭を撫でてきたおにーちゃんは、ニコッと柔らかく微笑むとスタスタと洗面所から出て行った。



「………おにーちゃんの………バカ…。」



そんなおにーちゃんの後ろ姿を見つめながら、あたしはほんのり赤くなった頬を隠すように俯いた。