「どうしよ。化粧してたら遅刻しちゃう。でもスッピンは無理。でも遅刻して校門前で生徒指導に怒られんのも嫌だし…。でもスッピンは……あぁー!!」



「……わーったよ。」



「へ?」



タオル片手にプチパニック状態のあたしを横目に、はぁ…と呆れがちな溜め息をついたおにーちゃんは、突然あたしの頭をポンポンと叩くとぶっきらぼうに呟いた。



「5分…」



「へ?」



「チャリぶっ飛ばせば5分で駅に着く。だからさっさと準備しろ。」



「えっ…」



「だーかーらっ!!はぁ…後10分で準備しろっつーの。後ろ、乗っけてってやっから。」



「あっ……うん!!」



コクリと大きく頷くあたしの髪の毛をグシャグシャっとかき混ぜると、「まっ、10分じゃ出来ることも限られるだろーけど、な。」と、ニヤリと意地悪な笑みを浮かべた。