「おにーちゃんのバカ!!大っ嫌い!!」



「はぁ?」



「ファンデ!!いや、その前に顔洗って…キャァァー!!無理!!絶対遅刻!!」



ギャーギャー騒ぐあたしを横目に、「ご愁傷様…」と呟くおにーちゃん。



「あーもうっ!!おにーちゃんのせいだからねっ!!」



「人のせいにすんな。」



「だって!!」



泡だらけの顔で睨んだとこで迫力は皆無。



でも、それでも当たらずにはいられない。



「バカバカ!!」



「バカはお前。俺より早い電車に乗るくせにギリギリまで寝てるお前が悪い。」



「だってっ!!」




「まっ、次からは俺より早く起きるこった。」



「ばかぁー!!」



「はいはい。じゃ、バカな俺はそろそろ駅に向かうとすっか。お前が必死に走ってるとこ、向かいのホームから笑いながら見てよ。じゃな!」



「裏切り者ー!!」



バシャバシャと顔を洗いながら、あたしは洗濯機を背もたれに「なんじゃそりゃ。」と笑うおにーちゃんの臑をゲシゲシと蹴った。