「ネクタイ…」



「ん?」



「あたしがあげたヤツ…」



ネクタイの結び目を正すおにーちゃんのシャツの袖をクイッと引っ張ったあたしは、小首を傾げるおにーちゃんをチラリと見た。



「あぁ…」



すると何かを思い出しているのか、目線を上に小さく呟いたおにーちゃんは、突然あたしの頭をポンポンと撫でると、フッと小さく笑みを浮かべて。



「あれね、明日付ける予定だから。」



「ほんと?」



「うん。あのピンクさ、女の子ウケいいんだよねぇ。明日行く予定の取引先の受付の子、なかなか可愛いし…」



「えっ!!」



「だから明日…」



「だめぇぇー!!絶対、だめぇぇー!!」



パッと顔を上げたあたしは、ガシッとおにーちゃんのスーツを掴んだ。