「まあ、そんな硬くならずに。お茶でも飲んでください」



そう言って真希が淹れたお茶の表面には、ガチガチに固まる山口さんの顔が映っていた。

しかし、緊張しているのは彼だけではない。

あれだけ人間離れした技を見せつけられれば、こちとて緊張するというもの。

徳佐は余裕だが、(てかアイツはいつも余裕で上から目線だけど)私も双子も自分の本部だというのに、明らかに緊張していた。


そう、此処は黒猫本部。私達は話を聞く為に、山口さんを連れて戻ってきたのだ。


「ああ、あの、本当に何も話すことはなくて......」

「いえ、こちらの質問に答えていただくだけで結構です」

「え、と......。じゃあ、さっきの.....」

「ああ。僕のことですか?それは、また後程」


奏が自分のいことを「俺」ではなく「僕」というのも緊張を煽る。