「…お前なぁ」
─…だけど。
ヘッドホンは、まだ先生の強い力によって捕まっていて。
「…そんな壁ばっか作ってて、悲しくならねぇか?」
「………─」
オマケに、あたしにこんな言葉を投げかけてきた。
"悲しくならねぇか?"
「……、…によ…」
「あ?」
「…っ」
悲しくならねぇかって。
悲しい?あたしが?
「…なによ…、今日初めて会った先生にそんなこと言われたくない」
…何のために、あたしはヘッドホンをしてると思ってるの。
何から逃れるためだと思ってんの。
先生が今持ってるのは、その"悲しさ"から逃れるためのものなのに。