いつまで経っても、痛くないので、勇気を出して目を開けてみると、あの学校のアイドル君の竜見君がおじさんの腕を掴んでいた。そして、竜見君はおじさんに向かって「こんなに大勢の前で女子高生を殴るなんて、それこそ謝って済むことじゃ無いと思うのですが。」と、おじさんに極上のスマイルを見せた。

バツの悪くなったおじさんは、違う車両へと消えていった。

「大丈夫?」と竜見君に顔を覗かれた。

私は、とっさに顔を下に向けた。学校のアイドル君に、泣き顔なんて見られたくない。