「な、な、なんでもないよっ! ちょっと、驚いただけ」
内心ではそれどころじゃないんだけど、あえて冷静さを装い答える。
噛んじゃったけど………。
それにしても、今まで、ここ2ヶ月近く、ほとんど顔も合わせなければ話すこともしなかったんだよ。
どうして、隼人はいつもと変わりないのよ!
なんだか、あまりにも変わりない隼人の姿を見ていると、どんどん腹が立ってきた。
「帰る!」
「はぁ!? 何、突然。だいたい、お前がどうしてウチにいるんだよ。そもそも、俺はそこからして疑問なんだけど」
なにさ、なにさ!
1人余裕ぶっこいて、あたしだけこんなに悩んで!
隼人のクセに!
隼人のクセに!
たぶん、いろいろなことがいっぱいいっぱいでこの時のあたしは自分の心の中には収めきれないほどになっていたんだと思う。
だから、あたしはつい、言ってしまったんだ。
つい―――…
「うるさいっ! あたしは、あんたが好きだって告白しに来たの!」
「え………」
気づいた時にはすでに遅かった。
目の前には、何が起こったのかわからないといった表情の隼人の間抜け面。
そして、一気にあたしの頭は冷え、冷静さと共に自分が口走ってしまったとんでもない言葉を思います。
「美優………。今の言葉って………」
冷静さを取り戻したといっても、自分の言った言葉を反芻してまだ脳内パニック中。
「い、い、いやぁぁああああああ!」
あたしの言葉の意味を聞こうとする隼人をあたしは思いっきり突き飛ばし、捨てゼリフを吐きながら、あたしは隼人の家を飛び出した。