あたしは自分の家の玄関に立ち尽くし、息を吐いたり吸ったりして整えていた。


「なに、してるの? そんなところで」


後ろからのいきなりの声にビクッと体が反応する。


振り返ると、ニコニコと笑っているお母さん。


「もう、びっくりさせないでよ」


「何よ。お母さん、別に驚かすつもりなんてなかったわよ。ただ、勝手に美優が驚いただけでしょ?」


うっ………。


そりゃ…、その通りなんだけど………。


「なになに? 何か進展あり? 今から? お母さんも用意しようか?」


「えぇ!? どうして、お母さんが用意する必要があるのよ! …て言うか、そもそもどうしてそんなうれしそうなのよっ!」


うれしそうにあたしに詰め寄ってくるお母さん。


絶対、楽しんでいる………。


「だって~。美優が変なんだもん。特に、熱があって早退してきた時からね。まあ、その前から様子はおかしかったけど、それ以上にね」



年甲斐もなくウインクなんてしてくるお母さん。


ばっちりバレている。


どうして、この人はこんなにも勘がいいんだろう。


「と、とにかく、お母さんには関係ないの!」


「結論はでたのね」