「ただいま~…」


ガチャリと玄関のドアを開けると、灯り1つ付いていない状態の家。


静まり返っている家を見てから、思い出す。


そう言えば、お母さんは今日は出版社のパーティーに参加するんだっけ。


お父さんも途中で合流するって言ってたから、今日は1人か………。


いつも1人だから慣れているはずなのに、今日だけは家にいて欲しかった。


「ハァ~…」


鍵をダイニングテーブルの上に置くと、あたしは椅子をひき、座り、テーブルに両肘を着きながら顔を伏せた。


昨日までは、確かに隼人はこのウチに来ていて、普通に会話をしていた。


自分から言ったことなのに、まさか1日会えないだけで、こんな気持ちになるなんて…。


それに………。


あたしは、今日聞いた学校での隼人の噂を思い出す。