「ああ………まあ…」


二岡は照れながら頭を軽く掻く。


その仕草から照れくさいのだとすぐにわかった。


あたしは思いっきり二岡の背中を叩いた。


「イテッ!」


「よかったじゃない。昨日、あたしに変なこと言ってたけど、あたしに頼まなくても彼女ができてさ」


「はあ? なんだよ、その昨日の変なことって」


「えっ? あたしに『付き合わないか』って言ってたじゃない。二岡はあたしにまで頼まなくちゃいけないぐらい彼女欲しかったんだもんね」


「おまっ! ………ちがっ!」


何か言おうとしている二岡の顔をあたしは見つめる。


途端に、二岡は顔を逸らし、髪をクシャと掴むと「もう、いいよ」と小さく呟いた。


「何よ。『もう、いい』って。………あっ、そうだ。あんたってさ、いつもお昼パン食だったよね」


あたしは二岡の言葉が気になりながらも、自分の鞄から隼人のために作ってしまったお弁当を取り出す。


「ほいっ!」


「なに? これ………」