早く着くとは思っていたけど、早すぎた………。
もしかして、あたし1番乗りなんじゃないかな?そう思うほど校舎の中はがらんとしていた。
なにしてるんだろう、あたし。
自分から隼人に距離を置こうというようなことを言っていたのに、それなのに、ちょっと寂しいなんて。
これも、いきなりだからなのかな?
時間が経てば慣れてくるのかな?
………そうだよね。
いきなりだからだよ。
きっと、この状態も慣れてくる。
うんうん!
そう思うとなんだか心が軽くなってきた。
あたしはゆっくりと鞄の中から教科書を取り出して机の中へと入れた。
問題は………。
サブバッグに入った2つのお弁当箱。
隼人にはもちろん渡せないし、だからと言って持って帰ったら持って帰ったで何か言われそうだし………。
どうしようかな…?
「あれ? 佐倉?」
腕を胸の前で組んで考えていると、ドアのところで驚いた顔で二岡があたしを見ていた。
「ああ、おはよ」
「おはよ…って、お前、どうしてそんなに早いの? 絶対、俺が1番だと思ってたのに」
「たまたま…早く来たい気分になったの! それよりも、あんたこそ毎日こんな早いわけ? この前は、あたしと一緒だったし、そういうわけじゃないわよね」
「今日は……特別。ちょっと、呼び出し受けちゃってさ」