おばさんがハムエッグとクロワッサンとサラダをトレーにのせて、隼人の前に並べる。


すると、隼人はハムエッグをひと口で口の中に放り込むとクロワッサンの1つを無造作に掴み、いきなり、席を立つ。


口を動かしながら、鞄を持ち、玄関へと向う隼人。


拗ねてるんだ。


おばさんに、怒られて。


本当、こういうところも子供。


いちいち親の言うことでこんな態度とることがガキのあらわれ。



おばさんはハァ~とため息をついている。


あたしは鞄を持つとおばさんに一礼する。


「いってきます」


「本当にごめんね。美優ちゃん………。気をつけていってらっしゃい」


おばさんは寂しそうに微笑むだけ。


いっつも、こんなのなのかな?


おばさんが一言注意すると今みたいな………。



あたしは、いまだに不機嫌そうな顔で靴を履いている隼人を見下ろす。


本当に、ガキなんだから。


なんだか、すっごいムカついたから、あたしは思いっきり隼人の背中を蹴った。


「いてっ!」


「邪魔だからどいて」


「だからって、蹴ることないだろ?」


「あんたみたいなガキには、口で言ってもわからないから!」


あたしはそれだけ言うと、靴を履き玄関を出て行った。