「………そっか…。美優にとっては幼なじみはただの幼なじみなんだな………」
えっ!?
別にそういうつもりで言ったわけじゃない。
ただあたしは………。
だけど、その言葉はもう何を言っても無駄なほど隼人を傷つけたらしい………。
「…わかった………。美優がそのつもりなら、徹底的にしたほうがいいだろう。お弁当だけじゃなくて、これからは朝起こしにくるのもいいよ。登校も別々にしよう」
えっ!?
いや………どうして、いきなりそうなるの?
あたしは別にそこまでは………。
「じゃあ、邪魔したな。今まで世話かけて悪かったな………」
それだけ言うと、隼人は振り返ることもなく帰ってしまった。
ただ、あたしの手にあるのは隼人にあげるはずだったおでんだけだった。
家を出て行くときのドアの音がなんだか、あたしと隼人の仲に確実な亀裂を起こしたように聞こえた。
「もう……。まったく、何やってるのよ。あんなこと言ったら、隼人くんが怒るのも当たり前でしょ?」
呆然とおでんの入った器を持って立ちすくんでいたあたしにリビングの入り口の壁にもたれながらお母さんが呆れた口調であたしを見据える。
「お、お母さん。………あたし…別に怒らすようなことなんて………」
別に悪いことなんてしていない。
だけど、さっきの隼人の態度とお母さんの言葉にあたしは自分が隼人に言った言葉を思い出す。
自分でも気づかないうちにあたしはとんでもないことを言ってしまったんだろうか…。