「ただし! 設定は使わせてもらうわよ。もちろん、2人の関係とかね……」


意味深な顔をあたしたちに向けながらお母さんはニヤニヤと笑う。


なんだか、嫌な予感。


「………それって…、どういう意味………」


「ん? つまり、いろいろと観察はさせてもらいますということ」


・・・・・・・・?


言っている意味がわからない。


オブラートに包んでいるけど、結局あたしたち2人を見立てた話を書くということ?


首を傾げているあたしを見てから、お母さんは隼人のほうを見る。


「そういうことでいいかしら?」


隼人はお母さんのことを見た後、『フゥ~…』とため息をつく。


「結局、俺たちが恋人同士の話を書くから協力しろということですね」


隼人の言葉にお母さんは『んふふふふ…』と笑っている。


えっ?

えっ?

どういうこと?


きょろきょろと2人を交合に見ていると、呆れた顔をした隼人があたしの頭を軽く小突く。


「お前、しっかりしてるくせにこういう駆け引きはトンと弱いのな」


「へ?」


隼人は一体何が言いたいわけ?


駆け引きってそんなのこの会話のどこにあった?


まだわからないといったあたしに隼人は説明してくれる。


「つまり……、言い方は代わったけど、俺たちが恋人のフリをする話はなくなってはいないということ。おばさん、全然、諦めてないんだって。諦めたフリをしただけで、このままいきますって」


な、ななななななんですとぉ~!