「どうしても、ダメ? 隼人くん、はじめは受けてくれたってことは、美優に説き伏せられたんでしょ?」


「あ………まあ…」


正直に答える隼人。


こんのぉ~!


もう少し頭使ってよ。


これじゃ、お母さん、納得してくれないじゃない!


「相変わらず正直ね。なんとなく、こうなる予想はしてたわ。なんだかんだ言っても隼人くんは美優には甘いから」


フフフ…と笑いながらお母さんはあたしたち2人を見る。


それにしても、お母さんったら、何を的外れなこと言ってるんだろう。


隼人があたしに甘い?


どこを見てそんなこと言ってるのよ。


まあ、確かに今回はあたしの頼みを聞いてくれたけど、こんなの初めてじゃない。


どう考えても、甘やかしてるのはあたしのほうだと思うけど。


お弁当は作ってあげてるし、朝起こしてあげるし……。


難しい顔をしているといきなりおでこをピンッと弾かれる。


「こらっ! 眉間に皺を寄せない! そんな顔してると、年とった時に、そこに皺が残るわよ」


恐ろしいことをサラリと言うお母さんの言葉にあたしは思わず眉間に手をやり、伸ばすように擦った。


「全く………。わかったわ。隼人くんに断られたら仕方ないわね。無理は言えないもの」


「お母さん!」


お母さんの言葉に喜ぶあたしの前にお母さんは人さし指をたてた。