「そういう問題じゃないの! 名前が違うとかそんなことじゃなくて、恥ずかしいじゃない! あたしたちの恋の過程がみんなに読まれてるんだよ。あ~~~! 恥ずかしすぎる~~~!」
あたしは自分の頬を押さえて恥ずかしさのあまりじたばたと暴れる。
ありえない!
ありえない!
「も~う! 美優は大げさね。隼人くんもこう言ってるんだから」
隼人とお母さんは「ね~!」なんて顔を見合わせて息を合わせている。
全く………。
なぜかこの2人、昔から気が合うんだよね~…。
でも……、呆れつつもこんな風にあたしと隼人、そしてお母さんとキッチンに立ってこちらをニコニコと笑いながら見つめている隼人のお母さん、この日常が戻ってよかった。
隼人と仲違いしちゃった時はもうこんな風な日常もなくなっちゃうと思ってたけど、またこの日常が戻ってよかった………。
ニコッと笑みを浮かべる隼人にあたしはやれやれという感じで仕方なく笑みを浮かべる。
またこうして隼人の傍にいることができてよかった。
自分では全然気づかなかったけど、あたしはもしかしたら、隼人の隣の居心地のよさに酔いしれていたのかもしれない。
だから、自分の気持ちに気づかなかっただけで、ずっと隣にいたいと思っていたあたしはすごく前から隼人のことを好きだったのかもしれない。