「…本当にここで話すの?」
責める目で隼人を見るあたしだけど、隼人はケロリとした表情。
あたしの言っている意味とかわかってるのかな?
「ここまで噂が広まってるんだ。俺たちが密かにどこかで話しててもみんな誤解したままだろ。それなら、みんなの目があるところで話してみんなの誤解を解いたほうがいい。でないと、またこいつみたいに美優に危害を加えるような連中が現れないとも限らないからな」
「そこまで……考えてたんだ………」
ただ単純に麻衣の案に乗ったんだと思っていた。
だけど、隼人はきちんと先のことまで考えていたんだね。
そう思うと、あたしは恥ずかしいやら、みんなの前でこんな醜態みたいなものは見せたくないとか自分のことばかり。
本当……、あたしってどうしようもなく自分のことばかりで、先のことまで考えない。
前に反省したばかりなのにな………。
「京香(きょうか)………。ごめん。もういいよ」
いきなり弱々しい声が聞こえてきたかと思うと、寂しそうに笑いながら香取さんはあのギャルに向ってそんなことを言い出した。
『もういいよ』って、何がもういいんだろう?
「紀子。どうして? あんた被害者なんだよ。あんたが折れる必要なんてどこにもないじゃん!」