「本当っ! ムカツクッ! あんたみたいのが1人前に反抗? ただの南条くんの幼なじみなくせに人の彼氏に手をだしてんじゃねぇよっ!」


全く脈絡も何もないことになんなのかも理解できない。


彼女が誰なのか、何に対して怒っているのかもわからないあたしにはどうしたらいいのかもわからないよ。


その間にも彼女は勢いよく右腕を振り上げた。


殴られるっ!


なんとなく思ったあたしはぎゅっと目を閉じた。











 「他人のクラスに堂々と乗り込んで、暴力沙汰は今のこの時期には問題なんじゃねぇの?」


振り下ろされるはずの手が中々下りてこない上に、いきなりいつも聞きなれた声が降りてきた。


あたしはパッと目を開ける。


そこには、ギャルが振り下ろそうとした腕を掴んでいる隼人の姿。


どうして………?


隼人とは昇降口で別れたはずなのに………。


「………ったく、どうして香取もお前も矛先を俺じゃなく美優に向けるわけ? 美優は何も悪いことなんてしてないだろうが」


隼人は掴んでいたギャルの腕をパッと離すと、さっき押された勢いで机にもたれかかっていたあたしの脇に手を入れ、おこしてくれた。


「隼人………? どうして?」


「ん? お前と別れたけど、やっぱり気になって見にきたんだ。なんとなく嫌な予感もしたしな。だけど、来てよかったよ」


隼人はあたしにそう言うと、視線をこちらをずっと睨みつけているギャルへと移した。


「美優を殴ろうとしたのは、原因は香取か?」