「今さら隠しても仕方がないことだから言うけど………。あ~……、やっぱり恥ずかしいなぁ~…」
「なっ、なによっ、言うつもりだったんでしょ?」
今から話してくれるのかと構えていたあたしは拍子抜けしちゃったじゃない。
それにしても、隼人がここまで恥ずかしがる理由って何?
そんなに、学校での猫かぶりをしたわけって言いづらいことなの?
そこまで焦らされると、逆にどんどん聞きたくなってきちゃうじゃない。
あたしは期待を込めた目で隼人を見つめる。
その間にも、隼人の中では言うか言わないかの葛藤があったみたいで、「どうしよう、どうしよう」と小さい声で呟いていた。
なんだか、隼人とは幼なじみだったんだけど、こんな姿は初めて見たな………。
隼人っていつもはっきりしていて、結論を出すのも早いし、何より迷っている姿なんて見たことがないんだよね。
だから、こんな風に言うことを戸惑っている隼人の姿ってなんだか新鮮。
「隼人~…。そんなに、言えないこと~? あたしが聞いちゃまずいことだったりするの?」
隼人があたしに言うことをこんなに戸惑っていることで、少し思ったことがあったんだ。
もしかしたら、隼人はあたしじゃない誰かのことが好きで、そのためにしていたことが板についちゃって止められなくなっちゃってたんじゃないかって。
それなら、みんなのためにしていたわけじゃないって言う隼人の言葉の意味もわかるし………。
だけど、それってなんだか嫌だ。
隼人はあたしのことを好きだって言ってくれているのだから、そんなこと関係ないのに、それでもなんだか見えない相手にヤキモチ焼いているみたい。
なんだか、胸の中がモヤモヤしてくる。